【名場面0047】人形だというのに真っ赤に染まって、唇までへの字にしていて、今にも泣き出しそうに見えたからだった。 [イスカリオテ]
カルロに答えながら、ノウェムはつかつかと大股で、少年のそばへ詰め寄った。
これ以上ない迫力で、紫水晶の瞳が睨みつけてくる。
「ノウェ、ム――?」
思わず声がくぐもったところへ、つけ込むように訊かれた。
「イザヤ様――断罪衣を起動できたんですか?」
「え? あ、まあ……」
「…………」
「…………」
今度は、沈黙。
さして長くはなかったが、あまりに重苦しいそれに少年が耐えかねて――突然、来た。
「イザヤ様が悪いんです!」
「うわ!」
いきなり、大声で叩きつけられたのだ。
きゅっ、と断罪衣の胸元を掴まれる。
「イザヤ様が悪いんです! 絶対にイザヤ様が悪いんです! いつもいつも、どうしてイザヤ様は私を伴ってくださらないのです!」
少年の断罪衣を掴み、精一杯背伸びまでして、実に一生懸命にノウェムが言うのである。
【書感0025】「さくら荘のペットな彼女2」 [さくら荘のペットな彼女]
【書感0024】ギブあっぷ3! [ギブあっぷ!]
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「ギブあっぷ3!」
(上栖綴人著、ホビージャパンHJ文庫刊)
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いわゆるラノベのメインターゲットは、ミドルティーンからハイティーンにかけての年齢層ではないか、と思うわけです。もっともメインマーケットとなると、そうした少年少女が成長して購買力を備えたオーバーエージ枠なんでしょうけど……基本はやはり、ティーンエイジャー向けだと思うのですよ。
さて本作、出版社は違いますが「付喪堂骨董店」シリーズのお約束でお楽しみ、毎巻4章の通称“咲語り”よろしく、毎巻終盤になると覚醒モードに入った主人公がダブルヒロインのうち「お色気担当」のほうをいつもと逆転してあれやこれやしちゃうシーンがお約束でお楽しみなわけです、が。
2巻まではエロせつないというか、エロ甘酸っぱいというか、エロまどろっこしいというか………寸止め、でもギリギリ寸止まってないかも、で済んでたけど、3巻は………3巻は――――
【書感0023】「さくら荘のペットな彼女」 [さくら荘のペットな彼女]
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「さくら荘のペットな彼女」
(鴨志田一著、アスキー・メディアワークス電撃文庫刊)
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タイトルや扉絵や帯の惹句や口絵に騙されてはいけない!
カタルシスはないけれど、キャラがいいです。そして、キャラだけじゃないのもいいです。
前半は、いまどきのラノベ風味なあれやこれやでコーティングされていますが……後半は、まさにド青春の青さや、身悶えするような初々しさや、あれやこれやのオンパレード。KOパンチはないけれど、小気味良いワンツーがびしばし決まるような展開とでも申しましょうか。
【名場面0046】「両方だっ!!」 [星界シリーズ]
「ど、どうしたの?」
「心配するな。艇体を切り離しただけだ」
「だけだって!?」
「反物質燃料を抱いたまま大気圏に突入するわけにはいかぬであろ。人の迷惑も考えないとな」
「でも、艇体を切り離すなんて……」アーヴらしく過激だな、とジントは思った。
「連絡艇は、もともと着陸するようにはつくられていない」ラフィールは早口で説明した。「着陸するというのは、緊急脱出と一緒なんだ」
「着陸できるのかい、艇体なしで?」
「艇体があったら、着陸できない」ラフィールは苛立たしげに、「わたしだって恐いんだぞ、着陸するのは初めてなんだから!」
「は、初めてだって!?」
【名場面0045】「ほんとに不愉快なんだぞ」 [星界シリーズ]
「まさか戦うなんていいださないだろうね」不安そうにジントがいった。
「わたしをなんだと思ってるんだ?」ラフィールは不快だった。「べつに戦うのが好きなわけじゃないぞ。しかたないときにしか戦わない」
ジントの眼に浮かんだのはあからさまな不信だ。
「心配するな、少年」前男爵がなだめるように、「アーヴはいったん戦うときには徹底的に戦う。戦いがはじまれば、取引や妥協はありえん。行きつくところまで行ってしまうんじゃ。それだけに戦いの恐ろしさをよく知っておる。じゃから、なるべく戦いは避ける」
「そうでしょうか……」
「歴史をひもといてみろ、少年。帝国のほうからいくさをしかけた例しはない」
「そんなことはないでしょう。げんにぼくの星系は帝国の存在なんて知りもしなかったんですよ。それなのに帝国は武器をむけてきたんです」
【迷場面0145】「そんなプライドのねえヤツには教えん……!」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル (2下) (電撃文庫―AHEADシリーズ (0864))
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/11
- メディア: 文庫
「ちゃんと用があって来たんだぜ。辞めるとか抜かしてるテメエに言うもんか。ケッ」
「じゃあ辞めない。言ってみろ」
「フザけてんのかテメエ。だったら、俺を拝んで教えて下さいって言ってみろ」
「はいはい。――教えて下さい」
「そんなプライドのねえヤツには教えん……!」
【書感0022】「1×10 藤宮十貴子は懐かない」 [1×10 藤宮十貴子は懐かない]
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「1×10 藤宮十貴子は懐かない」
(鈴木大輔著、富士見ファンタジア文庫刊)
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新刊カレンダーを見たらもうすぐ2巻が出る、ということに遅まきながら気づいたので、買うか買わないか決めておくために――と、長らく積ん読状態だった1巻を手に取った次第。
「空とタマ」や二ノ宮君シリーズが好きだったので(そういえばこのシリーズも途中から積ん読状態だ(^^;)、著者つながりでとりあえず確保――という以上の意図はなく、読み始めてからも正直前半分はう~ん……てな感じだったんです、が。
【名場面0044】「こうやって……イザヤ様から……触れてもらえばよかったんですね……」 [イスカリオテ]
「ああ、そうだ」
と、ぽつりと言った。
「ポンコツ。お前、なんか欲しいものとかあるか?」
「欲しいもの、ですか?」
きょとんと小首を傾げたノウェムに、イザヤは唇を歪めた。
「お前が俺の剣と盾になるっていうなら、それに報いてやらなきゃいけねえだろ。でないと帳尻が合わねえ。どうせ、教団から給料が出てるってわけじゃないんだろし」
「イザヤ様の生活に必要な資金は頂いてますが」
「お前の私物はねえだろうが」
「…………」
しばらく、ノウェムは考え込んでいた。
きっかり十秒で、答えが出た。
「ひとつだけ、望みがありました。よろしいですか?」
「おお、何でも言えよ。あ、先に言っておくけど、できねえことはできねえからな。後、大金とか要求されても困るぞ」
「おそらく、イザヤ様に問題なく実行可能と存じます。金銭にも関連しません」
「じゃあ言えよ」
「はい」
【名場面0043】「お前は俺の剣で俺の盾なんだろうが。」 [イスカリオテ]
【名場面0042】「な、な、な、なにそれ? なに、どういうこと」 [葉桜が来た夏]
「ちょっと! ちょっと学、聞いてるの?」
呼び声に誘われ、学は首を向けた。眉根に皺を刻みこちらを見つめる葉桜と目が合う。夕刻の湖面を思わせる見事なブロンド、折れそうに細い首と肩、白い陶器のような肌にはうっすらと朱が差している。
ああ綺麗だ。唐突に学はそう思った。
沈黙したままの学を妙に思ったのか、葉桜は戸惑ったように顎を引いた。
「な、なによ」
そう言ってやや上目遣いに彼を見返す。学はまじまじと彼女を見つめた後、ぽつりと口を開いた。
「おまえさ、前に俺がストレートと癖毛、どっちが好きか聞いたよな」
「は……?」
【迷場面0144】そうか、そりゃ大変だな。 [葉桜が来た夏]
【名言0020】エリカ・ブランデッリはかく語りからざるが [カンピオーネ!]
【迷場面0143】「たった一文の中に人を惹きつけるワードが満載!?」 [へヴィーオブジェクト]
「そういや、高速戦闘中は脳に血が回らなくなるのを防ぐために、足の血流を止めるようにモードチェンジするんだっけ。……もしかして、痺れてる?」
『いようにしゅうちゅうするこうそくせんとうのちょくごは、体にねつがこもるものですし、スーツから足を出して、れいきゃくスプレーをつかうのがてっとりばやいのです。おほほ』
はー、と適当に感心したクウェンサーだったが、そこで彼の体がピタリと止まる。
(あれ……? お姫様の足を冷やすっていう事は、ひょっとして、あの分厚い鋼鉄の壁の向こうでは……特殊スーツを脱い……?)
動きを止めたクウェンサーは、しばし哲学者のように深く深く考え込む。
すると、『正統王国』軍のベイビーマグナムの主砲がこちらを向いて、
『……よけいなことは、考えなくていいから』
「うぎゃああーっ!? ツッコミにしてもそれは強力すぎる!! それから余計なことを言ったのは『情報同盟』軍のエリートのはずだっ!!」
【迷場面0142】「本気で怒られたら本気で怒り返すしかあるまい」 [化物語]
【名台詞0033】櫃内様刻は言いました [「世界」(きみとぼく)シリーズ]
【迷場面0141】「いや、そこで予防線張らないで!」 [這いよれ!ニャル子さん]
【迷場面0140】「適当極まりねえ!」 [化物語]
「私はこの生涯を、阿良々木先輩に捧げると誓ったのだ。戦場ヶ原先輩との仲を取り持ってくれたからというのではない。阿良々木先輩がそうするに値する人だと思うから、そう誓ったのだ」
「誓った、か……」
「ああ。常に人々を照らし、恵みを与え続けるあの太陽に誓おうかと思ったが、そう思ったのが夜だったので、とりあえずその辺の街灯に誓っておいた」
「適当極まりねえ!」
「街灯だって人々を照らし、恵みを与え続けているではないか。街灯がなかったら大変だぞ?」
「そりゃそうだけど……」
せめて月に誓えよ。
曇っていたのか?
【書感0021】Baby Princess(①~②) [書き溜めのるつぼ]
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「Baby Princess ①」
「Baby Princess ②」
(公野櫻子著、アスキー・メディアワークス電撃文庫刊)
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さすがのラノベ読みの強者諸卿も、こう思うに違いありません――――
「19人姉妹なんてありえねーよ!!!!」と。
さらには…………
「しかもみんな年子なんてますますありえねー!!」
「極めつけに母親が同じだぁ~~!!? ないないないから!!!!」
【迷場面0139】ものすごい馬鹿がいた。 [化物語]
全く、と呆れたように言う八九寺。
「忙しいなんて言葉は時間配分ができない人間の言い訳ですよ、阿良々木さん。その気になれば、学校の休み時間でも、参考書を見ることはできたはずです。勉強は授業中、あるいは家でするものである、などという先入観、固定観念が、阿良々木さんを縛っているのです」
「おお……なんかいいこと言ってるな」
うん。
それもまた、その通りである。
「八九寺、僕は今までお前のことを、根っから頭の悪い子供だと誤解していたのかもしれないが、お前ひょっとして、ちゃんとお勉強とか、できる奴なのか? 前に成績はよくないとか言ってたけど、あれはあくまで僕に気を遣った謙遜で……」
「さあ……勉強したことがないからわかりません」
「………………」
ものすごい馬鹿がいた。
【迷場面0138】「(笑)?」 [化物語]
【書感0020】偽りのドラグーン [書き溜めのるつぼ]
【名言0019】黒髪の乙女はかく語りき [書き溜めのるつぼ]
【書感0019】葉桜が来た夏(4~5巻) [葉桜が来た夏]
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「葉桜が来た夏4 ノクターン」
「葉桜が来た夏5 オラトリオ」
(夏海公司著、アスキー・メディアワークス電撃文庫刊)
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これなんてハリウッド映画!?
葉桜フォーリンラヴ。
学君はテラ超人!
…の3本をお届けします、てな感じの「葉桜が来た夏」、堂々のシリーズ完結です。
【迷場面0137】「血生臭いんだよ、お前は……」 [化物語]
【迷場面0136】「責任転嫁までしやがった……」 [化物語]
【迷場面0135】「恫喝だって暴力の一つなのよ?」 [化物語]
【迷場面0134】「それじゃねえ!」 [化物語]
【書感0018】ピクシー・ワークス [書き溜めのるつぼ]
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「ピクシー・ワークス」
(南井大介著、アスキー・メディアワークス電撃文庫刊)
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うん、よい物語でした。空を目指す物語。未来へ続く、ひと夏の物語。――すごく控えめに言えば、ですが(^^;
キャッチコピーをつけるなら、なんだろう――部活ライトスタッフ? ガールズ・ライトスタッフ? マッド・ライトスタッフ? ……てか、それ全部?
ライトノベルを手に取る人で「こんな女子高生いねぇよ!!」と目くじら立てる人はたぶんいないと思いますが………それにしたってハイスペックすぎだろ、笹島明桜天文部&生徒会(^^;
【迷場面0133】『やっほー、お久しぶりー☆』 [へヴィーオブジェクト]
「何だこりゃ!? WL3B1を注文したのに、思いっきりWL3B2のほうが飛んできたぞ!? あのお姫様は俺達を殺す気か!!」
「おい見ろよヒーロー、なんかお姫様のオブジェクトの様子がおかしくねえか!?」
ヘイヴィアに促されて見てみれば、ベイビーマグナムの後部から伸びるアーム状主砲の内の一本が、何やら獲物を追うように小刻みに左右に揺れている。
それは、冷静に観察してみると『やっほー、お久しぶりー☆』という、女の子らしく可愛らしいジェスチャーのようにも見えたかもしれないが、
「ち、ちくしょう! なんか照準こっち向いてねえか!? 砲身を左右に細かく振って微調整までしてやがるぜ!!」
「もはや捨て駒確定だな! だけど死んでたまるかこんちくしょう!!」