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【名場面0046】「両方だっ!!」 [星界シリーズ]


星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 森岡 浩之
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1996/05
  • メディア: 文庫


「ど、どうしたの?」
「心配するな。艇体を切り離しただけだ」
「だけだって!?」
「反物質燃料を抱いたまま大気圏に突入するわけにはいかぬであろ。人の迷惑も考えないとな」
「でも、艇体を切り離すなんて……」アーヴらしく過激だな、とジントは思った。
「連絡艇は、もともと着陸するようにはつくられていない」ラフィールは早口で説明した。「着陸するというのは、緊急脱出と一緒なんだ」
「着陸できるのかい、艇体なしで?」
「艇体があったら、着陸できない」ラフィールは苛立たしげに、「わたしだって恐いんだぞ、着陸するのは初めてなんだから!」
「は、初めてだって!?」

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【名場面0045】「ほんとに不愉快なんだぞ」 [星界シリーズ]


星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 森岡 浩之
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1996/05
  • メディア: 文庫


「まさか戦うなんていいださないだろうね」不安そうにジントがいった。
「わたしをなんだと思ってるんだ?」ラフィールは不快だった。「べつに戦うのが好きなわけじゃないぞ。しかたないときにしか戦わない」
 ジントの眼に浮かんだのはあからさまな不信だ。
「心配するな、少年」前男爵がなだめるように、「アーヴはいったん戦うときには徹底的に戦う。戦いがはじまれば、取引や妥協はありえん。行きつくところまで行ってしまうんじゃ。それだけに戦いの恐ろしさをよく知っておる。じゃから、なるべく戦いは避ける」
「そうでしょうか……」
「歴史をひもといてみろ、少年。帝国のほうからいくさをしかけた例しはない」
「そんなことはないでしょう。げんにぼくの星系は帝国の存在なんて知りもしなかったんですよ。それなのに帝国は武器をむけてきたんです」

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【迷言0013】葬儀屋はかく宣えり [星界シリーズ]


星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 森岡 浩之
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫


「なにがいいたいことがあるんじゃないのか」と葬儀屋。「たとえば感謝のことばとか、あるいは感謝のことばとか、ひょっとして感謝のことばとか」

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【迷場面0094】「情報局の者たちもさぞかし光栄に思うことでありましょう」 [星界シリーズ]


星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 森岡 浩之
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1996/05
  • メディア: 文庫


「推測ではなく、確定情報はないのか」
「残念ながら」カヒュールは首をふった。「確定するには中央情報が不可欠ですが、それが不足しています。情報局はこのたびの進攻そのものを事前につかんでいなかったほどですから、まして兵力を把握することは不可能でしょう」
「情報局か」トライフはいまいましさを声にこめた。「まったく猫の餌係もつとまらんような無能者ぞろいだ」
「少しいいすぎではありませんか、閣下」通信参謀ナソトリュア副百翔長がききとがめた。彼女は軍令本部情報局から転出してきてまだ日が浅い。古巣を批判され、露骨に嫌な顔をしている。
「そうか」トライフは顎に拳をあてて、うろうろと歩きまわった。

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【迷言0006】クー・ドゥリンはかく宣えり [星界シリーズ]

「おまえが敬虔な異性愛主義者なら、おれは狂信的異性愛原理主義過激派だ」

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【迷場面0022】「ぼくはいまとても動揺している」 [星界シリーズ]

「けれど、いちばんふつうの子どものつくりかたは、愛する人間の遺伝子と自分の遺伝子を接合させることだ」
「それをきいてほっとしたよ」ジントは感想を口にする。
「もちろん、その相手が同性だったり、近親だったり、複数だったりすることはある。このことを知ると、地上世界出身者はなぜか動揺するときいた」ラフィールはジントの顔に物問いたげな視線を投げかけた。
「それはほんとうだ」ジントはうけあった。「ぼくはいまとても動揺している」

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【名場面0001】「ラフィールと呼ぶがよい!」 [星界シリーズ]

 そうに決まっている――ジントは思いこんだ。
 是正しなくてはならない。人間関係ははじめが肝腎。惑星デルクトゥーでの経験から学んだ、ジントの信条である。
 まず手始めは自分の名を名乗るという礼儀からだ。
「ねえ、きみ!」ジントは翔士修技生を呼びとめた。
「なんだ?」彼女はふりかえった。
「きみはぼくの名前を知っているんだよね」
「そなたはリン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵公子・ジント閣下ではないのか?」漆黒の瞳が不審の色を宿して見かえしてくる。
 その表情を見ていると、ジントは確信が揺らぐのを覚えた。どうも馬鹿にしたり、見くだしたりしているようすはない。
「うん、そのリン・中略・ジントであることにはちがいないけど、こっちはきみの名前を知らないんだよ。アーヴはどうか知らないけれど、ずいぶん落ちつかないものなんだ、これは」
 彼女は驚いたように大きな眼をさらに見開いた。
 名前を訊くのはアーヴのなかでは無礼な行為なんだろうか? ジントはちょっぴり不安を感じた。アーヴの文化を学んだとはいえ、それは学校でもと国民から習ったのだ。不完全かもしれない。
 が、次の反応はジントの予想を超えるものだった。

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