【迷場面0149】「まさか、まさか日本がそのような国であったとは……」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル4〈上〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2004/12
- メディア: 文庫
観れば、画面の向こうで新庄がバスタオルを下に落としていた。
薄暗い中、肩から脇、そして腰から尻側に流れ落ちるラインが見え、しかし、横を向いて露わになった胸は、
「ロジャー! ロジャー! どういうことだ! あれは、――男だぞ!!」
「Tes.、私の知識が正しければ、日本には古来からそういう道があり、戦国時代の武将達は作法の一環として庵室を構えて各々の御手前を競い合い、器具類を見せ合ったとか」
「まさか、まさか日本がそのような国であったとは……」
【迷場面0148】「恐ろしい、恐ろしい民族だな!」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル4〈上〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2004/12
- メディア: 文庫
「ロジャー! ロジャー! 日本の子供の性はここまで乱れておるのか!?」
「Tes.、全ネット上の児童ポルノの四十パーセントは日本製であります。そして日本人の人口は世界人口の約二パーセント。この論からいけば、――日本人の児童ポルノ度は世界標準の約二十倍と計測出来ますし、潜在指数はそれを遥かに超えるものであります」
「恐ろしい、恐ろしい民族だな!」
【迷場面0145】「そんなプライドのねえヤツには教えん……!」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル (2下) (電撃文庫―AHEADシリーズ (0864))
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/11
- メディア: 文庫
「ちゃんと用があって来たんだぜ。辞めるとか抜かしてるテメエに言うもんか。ケッ」
「じゃあ辞めない。言ってみろ」
「フザけてんのかテメエ。だったら、俺を拝んで教えて下さいって言ってみろ」
「はいはい。――教えて下さい」
「そんなプライドのねえヤツには教えん……!」
【迷場面0123】「い、今何か言ったかな?」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル2〈上〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
「御言君……」
「何かね? その不審なものを見るような目は」
「……意外と御言君、深くものを考えずに直接結論出すタイプだな?」
「いつ私がそんな短絡思考をしたというのかね? そんなこと言うと張り倒すぞ」
「今も充分短絡しておるだろうがっ!」
【迷場面0122】「全然ニュアンス違うよっ!」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル2〈上〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
「でも、これからどうやって確かめるの? ボクが女だって。ボク、これ以上見せないよ?」
「では触れてみるしかないね」
「じゃあ、たとえば指先で優しく――」
「そう、わし掴みとか」
「全然ニュアンス違うよっ!」
【迷場面0116】「触っているのではない、掴んでいるのだ……!」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル2〈上〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
と、本を取ろうとした手が、暖かく柔らかいものに触れた。
「……ひ」
感触には声も着いてきた。
佐山は何事かと、下を確認。焦点を結んだ視界は、自分を覆う布団を見る。
その筈だった。
しかし何故か今、自分の前には尻が突き出され横たわっていた。
左、降りる梯子の方にはじたばたする素脚が空を掻き、右、壁際には腰までめくれたシャツの背が見える。両者の中央では白い下着の張った尻が、
「や、あ、ちょ……」
慌てた声と揺れる髪、そして目の前でもぞつく丸い双肌(もろはだ)を見て、佐山は眠気混じりに言う。
「何をいきなりフルーティな行為に及んでいるのかね、新庄君」
【迷場面0110】「ははは小さいことだよ新庄君。気にせず行こう」 [終わりのクロニクル]
終わりのクロニクル2〈上〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
- 作者: 川上 稔
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
「確かに佐山君、頭がおかしくて突発的な奇行や犯行に及んだりするけど、他人のことや、秘密に関しては堅いもんね」
「……何やら前提が間違っているような気がするのだが」
「そ、そうかな? でも皆言ってるよ? 天動型佐山宇宙所属の馬鹿野郎って」
「ふむ。前半は当然としても、成績優秀な私に馬鹿野郎とは解せん話だね……」
「いや、馬鹿にもいろいろ意味あるし、……ってか前半オッケーって?」
おや、と佐山は首を傾げ、
「本気にしたのかね新庄君。安心したまえ。冗談だ。大体、今更天動説など」
「あ、あははは、そ、そうだよね? 佐山君、たまに佐山時空に入るから焦っちゃったよ」
「ああ、大丈夫だよ新庄君。――中世以来、世界はちゃんと地動説で私が太陽だ」
「え!? な、何? 今何か最後に言った?」
「ははは小さいことだよ新庄君。気にせず行こう」
【迷場面0092】「……へえ、残念だけどまだまだ五割以上だね」 [終わりのクロニクル]
「いいよいいよ、そんなこと考えなくて。――旅行なんてこれからもまだ機会はあるだろうし、ボク達にはまだまだすることも多いし。お金の問題もあるし。それに初めてのこういう遠出が佐山君と出来て嬉しいし、佐山君と旅行だなんて誰も思ってやしない――」
と、楽しげに言っていた新庄の言葉が不意に止まった。表情も止まって、ややあってから、
「ボク達、荷物持って一緒に学生寮と学校出たよね?」
「ああ、体育祭準備中の生徒達に挨拶をしつつ出たが、……それが何かね?」
「――思い切り学校中の噂になってるよボク達きっと多分おそらく高確率で!!」
新庄の言葉に、佐山は懐から計算機を出した。ボタンを押しつつ、
「きっと・多分・おそらく・高確率で、――どれも九割として乗算したとき、総確率は約六十六パーセントまで落ちるね新庄君」
「……へえ、残念だけどまだまだ五割以上だね」
と、楽しげに言っていた新庄の言葉が不意に止まった。表情も止まって、ややあってから、
「ボク達、荷物持って一緒に学生寮と学校出たよね?」
「ああ、体育祭準備中の生徒達に挨拶をしつつ出たが、……それが何かね?」
「――思い切り学校中の噂になってるよボク達きっと多分おそらく高確率で!!」
新庄の言葉に、佐山は懐から計算機を出した。ボタンを押しつつ、
「きっと・多分・おそらく・高確率で、――どれも九割として乗算したとき、総確率は約六十六パーセントまで落ちるね新庄君」
「……へえ、残念だけどまだまだ五割以上だね」
【迷場面0085】「……それがお前の感謝かSf」 [終わりのクロニクル]
「先に行ってもいいぞSf。数段と言わず、俺を見捨ててどこへでも、ああ、あの世でも」
「Tes.、それが至様の御要求でしたならば従います。――ただ、まさか至様があの世など信じておられるとは」
「お前のためには信じてやろう。感謝しろSf」
「Tes.、感謝回路を起動します」
と、Sfは横に桶を下ろすと、至の方を向いた。そのまま両手を三度柏手打ちして、
「南無ー」
「……それがお前の感謝かSf」
「Tes.、独逸UCATの日本研究は完璧です。社寺の合一を示すこの感謝は東西独逸合併に相当するものと判断しますが」
言って、Sfは至を見た。至は既に無言で上り出している。
Sfはとりあえず感謝を最後まで終えるため、手を合わせて一礼。その後に彼を追う。
「Tes.、それが至様の御要求でしたならば従います。――ただ、まさか至様があの世など信じておられるとは」
「お前のためには信じてやろう。感謝しろSf」
「Tes.、感謝回路を起動します」
と、Sfは横に桶を下ろすと、至の方を向いた。そのまま両手を三度柏手打ちして、
「南無ー」
「……それがお前の感謝かSf」
「Tes.、独逸UCATの日本研究は完璧です。社寺の合一を示すこの感謝は東西独逸合併に相当するものと判断しますが」
言って、Sfは至を見た。至は既に無言で上り出している。
Sfはとりあえず感謝を最後まで終えるため、手を合わせて一礼。その後に彼を追う。
タグ:そんなドイツで大丈夫か?
【迷場面0081】「666年保証です」 [終わりのクロニクル]
「至様、コーヒーをお持ちしました」
「いらん」
「Tes.、言ってみただけですのでご安心下さい。ここに捨てますか?」
「前に捨てろと言ったらお前は本当に床に捨てたな」
「Tes.、あれは私がここにきて二週間目のことでした。この記憶は深層五度の確認を行いましたので間違いは御座いません」
「ああ、俺も憶えているよ。結局俺が床を拭く羽目になって、初めてお前を分解してやろうかと思った記念すべき日だ。高性能な機械は言ったことをちゃんとやるから素晴らしいな」
「Tes.、二週間で分解整備とは至様は几帳面だと判断します。ですが御安心下さい。独逸UCATの誇るSfは内部を自動クリーニングするので666年保証です」
「ほほう、自動クリーニングなんて、そんな機能があったのか?」
Tes.と頷いたSfは、自分の手首を軽く回して見せ、
「夜、することがないときに自分でパーツを外してブラシで丹念に」
「いらん」
「Tes.、言ってみただけですのでご安心下さい。ここに捨てますか?」
「前に捨てろと言ったらお前は本当に床に捨てたな」
「Tes.、あれは私がここにきて二週間目のことでした。この記憶は深層五度の確認を行いましたので間違いは御座いません」
「ああ、俺も憶えているよ。結局俺が床を拭く羽目になって、初めてお前を分解してやろうかと思った記念すべき日だ。高性能な機械は言ったことをちゃんとやるから素晴らしいな」
「Tes.、二週間で分解整備とは至様は几帳面だと判断します。ですが御安心下さい。独逸UCATの誇るSfは内部を自動クリーニングするので666年保証です」
「ほほう、自動クリーニングなんて、そんな機能があったのか?」
Tes.と頷いたSfは、自分の手首を軽く回して見せ、
「夜、することがないときに自分でパーツを外してブラシで丹念に」
タグ:そんなドイツで大丈夫か?
【迷場面0080】「普通は内蔵します」 [終わりのクロニクル]
「……よくよく思うが不良品のお前に嫌味は通じないのか?」
「Tes.、それが至様のお望みだと判断しております。方針変更されたのならば感情機能を追加することも出来ますが?」
「感情機能か。つけるとどうなる?」
Sfは少し考えた、その後に首を傾げ、
「Tes.、つけると邪魔になります。普通は内蔵します」
「……内蔵したらどうなるか言ってみろ」
「Tes.、内蔵すると感情を持つようになります」
「たとえば」
「理不尽な命令を得ても笑顔で対応したり主人が嫌味でも亡くなったときに涙を流せます」
「それこそ感情機能ではなくロボット機能だ問題製品め」
「Tes.、それが至様のお望みだと判断しております。方針変更されたのならば感情機能を追加することも出来ますが?」
「感情機能か。つけるとどうなる?」
Sfは少し考えた、その後に首を傾げ、
「Tes.、つけると邪魔になります。普通は内蔵します」
「……内蔵したらどうなるか言ってみろ」
「Tes.、内蔵すると感情を持つようになります」
「たとえば」
「理不尽な命令を得ても笑顔で対応したり主人が嫌味でも亡くなったときに涙を流せます」
「それこそ感情機能ではなくロボット機能だ問題製品め」
タグ:そんなドイツで大丈夫か?
【迷言0005】Sfはかく宣えり [終わりのクロニクル]
「――Tes.、皆様、御了承いただけて幸いです。これも私に搭載された交渉プログラムの恩恵であると判断します。御感銘された方は独逸UCAT内Sf開発係までメールで御感想をどうぞ。ただ、最近はブラボーと書いても喜ばれますが、未だにハラショーは厳禁です」
タグ:そんなドイツで大丈夫か?
【迷場面0042】「このままでは私の涅槃メーターがレッドゾーンに!」 [終わりのクロニクル]
「だから開」
「だから言ったら駄目――っ!!」
言った瞬間から、新庄に襟首を掴まれて揺さぶられる。
そんな視界の揺れを感じながら、佐山はこう思う。
……ああ、これがノロケるということなのか。
ふふ。初めての体験だ。人並みのじゃれ合いというのもまた、
「素晴らしい……」
ノロケ上等、どんどん揺らしたまえ。と思っていたら、ネクタイを引き絞られた。
「ま、待ちたまえ新庄君。このままでは私の涅槃メーターがレッドゾーンに!」
「うるさい言葉は元からストップだよ!」
「だから言ったら駄目――っ!!」
言った瞬間から、新庄に襟首を掴まれて揺さぶられる。
そんな視界の揺れを感じながら、佐山はこう思う。
……ああ、これがノロケるということなのか。
ふふ。初めての体験だ。人並みのじゃれ合いというのもまた、
「素晴らしい……」
ノロケ上等、どんどん揺らしたまえ。と思っていたら、ネクタイを引き絞られた。
「ま、待ちたまえ新庄君。このままでは私の涅槃メーターがレッドゾーンに!」
「うるさい言葉は元からストップだよ!」
【迷場面0029】「蕎麦屋の出前かー!!」 [終わりのクロニクル]
「千里様、佐山様から連絡が――」
「あったの!?」
「いえ、ありませんでした。気になったので学生寮に電話を掛けたところ」
「まだいたの!?」
「いえ、舎監の方が、今出ました、と」
「蕎麦屋の出前かー!!」
「あったの!?」
「いえ、ありませんでした。気になったので学生寮に電話を掛けたところ」
「まだいたの!?」
「いえ、舎監の方が、今出ました、と」
「蕎麦屋の出前かー!!」
【迷場面0021】「……誰も気にしなくなるから」 [終わりのクロニクル]
「イエー、冷血女のパンツは――、ぐおっ!」
「ふむ。ブレンヒルト君、いきなりアイアンクローとは……、渋いのだね」
「御免なさい佐山。私、UCATにはこの子の始末をつけてから行くわ」
と、慌てて大樹がやってくる。
「あああ御免なさいブレンヒルトさん! 元気なエロい子が多くてー!」
「いいのよ。気にしないで。……誰も気にしなくなるから」
「そ、その不吉なセメント発言は無しですよー!」
「ふむ。ブレンヒルト君、いきなりアイアンクローとは……、渋いのだね」
「御免なさい佐山。私、UCATにはこの子の始末をつけてから行くわ」
と、慌てて大樹がやってくる。
「あああ御免なさいブレンヒルトさん! 元気なエロい子が多くてー!」
「いいのよ。気にしないで。……誰も気にしなくなるから」
「そ、その不吉なセメント発言は無しですよー!」
【迷場面0009】「思い出すだけにしろ馬鹿!」 [終わりのクロニクル]
「大丈夫か馬鹿野郎、あまり過去に浸るな。いいことじゃねえぞ」
「ああ、……でも、ついやってしまうんだよなあ」
「そういうときは女房の乳でも思い出しとけ」
言われた通り、鹿島は素直に思い出した。
「ああ、いいなあ。そうだよなあ――」
「電車内なのに虚空を手でこね出すんじゃねえっ! 思い出すだけにしろ馬鹿!」
「ああ、……でも、ついやってしまうんだよなあ」
「そういうときは女房の乳でも思い出しとけ」
言われた通り、鹿島は素直に思い出した。
「ああ、いいなあ。そうだよなあ――」
「電車内なのに虚空を手でこね出すんじゃねえっ! 思い出すだけにしろ馬鹿!」