【迷場面0144】そうか、そりゃ大変だな。 [葉桜が来た夏]
「葉桜! 危ない!」
「え……?」
葉桜が顔を戻すのと銃声が鳴り響いたのはほぼ同時だった。銃弾が骨を叩く嫌な音、巨人の手ではたかれたように葉桜の頭がのけぞる。
「………!」
心臓を鷲摑みにされた気がした。学は声にならない叫びを上げて葉桜に駆け寄った。葉桜は状態を傾がせた姿勢で、その場に立ちすくんでいた。ボリュームのあるブロンドに隠れて顔は見えない。学は彼女の肩をつかみ乱暴に揺さぶった。
「おい、おい葉桜。しっかりしろ、おい!」
「………」
「あ?」
「……い」
「い?」
「いたい……」
片手で頭を押さえながら、葉桜が面を上げた。顔をくしゃりと歪ませ目の端に涙をためている。
ちょっと待て、今こいつ頭撃たれたよな? 痛い? それで終わりなのか?
「こぶ……できたかも」
そうか、そりゃ大変だな。
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南方学×葉桜
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「葉桜が来た夏2 星祭のロンド」
(夏海公司著、アスキー・メディアワークス電撃文庫刊)
「第三話」(P.119~120)より
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アポストリという種族のスーパーぶりを端的に表したシーン………というよりも、学君のモノローグが最高すぎです(^^;
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