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【迷場面0127】「今度は話が深すぎる!」 [オルキヌス 稲朽深弦の調停生活]


オルキヌス2 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)

オルキヌス2 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)

  • 作者: 鳥羽 徹
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2009/07/15
  • メディア: 文庫


「じゃあ何か、適当に話でもしようか」
「お話? 何を話すの?」
「何でもいいよ。メルは何か話したいこととかある?」
 んー、と幼いハーピーはしばらく考えて、
「森羅万象における人間の存在意義について」
「即興で話すにはちょっと難しいな!」

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【迷場面0126】「最悪な慰め方だ!」 [オルキヌス 稲朽深弦の調停生活]


オルキヌス 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)

オルキヌス 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)

  • 作者: 鳥羽 徹
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2009/04/15
  • メディア: 文庫


「一応自分は調停員なわけですし、オルカに対してそんな砕けた言葉遣いはどうかと思うんですが、大丈夫なんでしょうか」
「よゆう」
「そんなあっさり!」
「事実ですから」
「抱いていたオルカ像が崩れていく……!」
「人の夢と書いて儚いって読みますよねぇ」

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【迷場面0125】蜘蛛、言い訳。 [オルキヌス 稲朽深弦の調停生活]


オルキヌス 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)

オルキヌス 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)

  • 作者: 鳥羽 徹
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2009/04/15
  • メディア: 文庫


「あ、あの……初めまして」
 二メートルを越える蜘蛛に話しかける人間。
 端から見れば奇異以外の何でもない光景だが、それはあくまで外界の話。
 ここではその常識は通用しない。なぜなら――
「はい、初めまして」
 当たり前のように頷き、挨拶を返す蜘蛛。その言語はこの島における知的生命体が用いる共通言語。ならばこの蜘蛛もまた――知性ある存在に他ならない。
「うわぁ……!」
 自然に挨拶する蜘蛛を見て、深弦の興奮は頂点に達した。
 オルカ。幻想の島にしか居ない幻想の生物の総称。人語を解し、知性を持ち、力を持ち、長久の歳月を生きる人ならざる異形の幻獣。
 それが今、こうして目の前に居る。もしも深弦に理性がなければ即座に蜘蛛に歩み寄り、その全身をくまなく撫で回そうとしただろう。
 そんな興奮を隠そうともしない深弦に、蜘蛛はゆっくりと前足を上げた。

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