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【迷場面0128】「何を仰っているんですか。親身になっておりますとも」 [境界線上のホライゾン]


境界線上のホライゾン2〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)

境界線上のホライゾン2〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)

  • 作者: 川上 稔
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 文庫


「Jud.、昨日に御要求が御座いましたので、ホライゾン、ちょっと朝に早起きして粉末ドリンクを頑張ってみました。店主様のお墨付きですので、一献如何でしょうかトーリ様」
「おお、気合い入ってるな! 粉末系スポーツドリンクは最近キュウリ味の″ドクターカッパー″とか解りにくいネタ多くて困るよな。ともあれ、――じゃあ、喉も渇いてるし頂くぜ!」
 Jud.、とホライゾンが頷く眼前で、葵が竹ボトルを一気に煽った。その横で、無表情に半目のホライゾンが平然とした口調で、
「スポーツコーンスープです」
 葵が吹いた。わあ、とか、きゃあ、とか逃げ出す皆の中央。葵はがくがく震えながら、
「ぬおお! な、何だこの、え、ええと、言葉を選んで言うと斬新な味! 口に入った瞬間から温かいコーンのどろつきと塩っぽいのにレモン味がプラス! あめいじんぐ!」
「トーリ様、ゲロのような臭いがしますねそれ」
「あ、あれエ――!? 俺が選ばなかった言葉で正確にストライク取りに来てね!?」
「Jud.、店主様も「すごい良く出来てる! 二日酔いの朝みたい!」と御好評で」
「聞けよ人の話! というかオマエ今ものすごく他人ごとじゃね!?」
「何を仰っているんですか。親身になっておりますとも。――さあ、冷めない内にどうぞ」
「い、嫌な親身だ……!! ――ってかホライゾン、オメエの方のボトルは何よ?」
 Jud.、とホライゾンが開けていた自分用の竹ボトルを葵に差し出した。
「これは普通の作りのスポーツ飲料なので、面白味などありませんが」
 それでいいんじゃねえの? と葵が受け取り、口直しとして一気に煽る。
 と、横のホライゾンが平然と、
「普通のスポーツコーンスープです」
 葵が吹いた。ぬあ、と引く皆の中央。がくがく震える葵にホライゾンが半目で告げた。
「作りすぎたもので。――二度ネタですから面白味が無いと思うのですが」
「あっれ!? あっれ!? 面白味ってそっちか!? そっちか!? 俺が悪いのか!?」
「さあ、冷めない内に処理して下さい」
「途中端折って親身になるなよ! ってか処理って言った! 言った!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ホライゾン・アリアダスト×葵・トーリ
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「境界線上のホライゾンⅡ<上>」
(川上稔著、アスキー・メディアワークス電撃文庫刊)
 序章『平穏囲いの講師達』(P.31~32)より
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 このピンポンのような会話のテンポ。どこにでもあるものをどこにもないようなネタに生まれ変わらせる悪魔的な発想力。まさに川上無双です。

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ほっちぃ

武蔵は戦える!
飛ぶことによって存在を示し、
金と力が武蔵に流れ続ける限りはな!

BY シロジロ
by ほっちぃ (2010-04-16 21:09) 

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