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【名場面0004】「お前は考えてるか?」 [スクランブル・ウィザード]

 「要するにだ、頭使って考えろ、って話をしたかったんだよ。何もかも全部自分のせいだとかアホなこと思ってねえか? お前」
 ずきんと胸が痛んだ。
 自分のせいだと思っている? 当たり前だ。全部自分が悪いのだから。
 だが、月子は続く十郎の言葉に思わず顔を上げた。
「ただの責任放棄だろ、そんなのは」
「そんな……そんなことない! 私は――」
「この場合の責任ってのはな、何が良くて何が悪かったのかちゃんと考えるってことだ。お前は考えてるか? 何も考えず『全部自分が悪かった』ことにして、そこで止まってるんじゃねえか? そりゃただ怠けてるだけだ。単純に事実だけ言ってやる。猫に怪我させたのは最部だ。経緯がどうあれ、最部が自分の意思と判断で猫を攻撃したんだよ。その責任は最部自身が負うべきで、お前が肩代わりすることじゃねえ」
 意味がすぐには飲み込めず、月子は十郎の顔を見上げる。
 相変わらずの不機嫌そうな顔と口調だが……非難されているわけではないのだろうか。
「考えなしに餌付けしたのは反省しろ。だが、自分のものじゃない責任を背負い込む必要はこれっぽっちもねえんだ。悪くないことを悪いと思い込むな」

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椎葉十郎×雛咲月子
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「スクランブル・ウィザード」
「四章 課外講義:命の重さ、ラーメン、壊呪、目標」(P.115~116)
(すえばし けん著、ホビージャパンHJ文庫刊)
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 十郎のせりふ(「この場合の責任ってのはな、~」のくだり)には、読んでてどきっとさせられました。

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