【迷文0003】まさにおそるべきあとがき [ばけらの!]
小説で飯を食い始めて三年になります。僕はこれまで、舞台が現代である設定のシリーズを多く書いてきたのですが、たとえ作中に明確に出てこなくても、「これは西暦何年の何月何日の話である」と決めて書くことがほとんどでした。なぜかというと、曜日や祝日などにおいて、気づかないところで矛盾が生まれてしまうおそれがあるからです。
しかし、作中の設定であるその年月日の話を、現実のまさにその日に執筆する――という事態になったのは、作家生活三年目にして今回がはじめてでした。これを書いてしまうとGA文庫のタイトスケジュールぶりが内外に知れ渡ってしまい、編集部的に都合が悪いような気がしなくもないのですが、読者であるあなたがこれを読んでいるということは、大丈夫だったのでしょう。こんな一生に一度あるかないかというレアケース、あとがきのネタにしないのはもったいないです。
(中略)
実際に経験したことでなければ書けないのですから、クリスマスがやってこないとクリスマスの話を書けないのはしごく当然のことなのです。クリスマス前に想像で書いてしまったら経費で落ちません!
と編集さんに説明しようとしたのですが、あまりにも申し訳ないのでやめました。これほどの綱渡り日程で本を仕上げてくださった担当編集川本さまとイラストレーター赤人さまには、足を向けて寝られません。ほんとうにありがとうございました。
二〇〇八年十二月 杉井光
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発行 2009年1月31日
著者 杉井 光
発行人 新田光敏
発行所 ソフトバンク クリエイティブ株式会社
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「ばけらの!2」
(杉井光著、ソフトバンククリエイテイブGA文庫刊)
「あとがき」(P.260~)より
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本作の発売日が1月15日だったということは、つまり、亜里沙さん曰く「念のためのしめきり」(【迷場面0100】参照)前にはギリギリ脱稿したということなんでしょうか(^^;
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