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【迷場面0064】そこに! モザイクなどあろうはずもないッ――!! [ミスマルカ興国物語]

「マヒロ王子? さて、誰のことかな?」
「ふざけるな、少しは感謝してやろうと……」
 マヒロの声に、沙耶香はソファを立って振り返った。
「思っているのに貴様……貴様……と…………いう…………………や……」
「GOッ! フリィ~~~~~~~~ダァ~~~~~~~~~~~ムッ!!」
 少年は、ヒーローごっこでもするように仮面(ボール紙)を装着していた。否、こう表現するべきかも知れない。『Z』と記された仮面のみを装着していた……と。
「やあみんな、待たせたな! 私の名前はゼンラーマン! この惑星に真の自由を伝えるため、ゼンラー星からやってきた自由の騎士だ!!」
「ひっ……」
 そう。たった今まで沙耶香がマヒロだと思っていた少年はしかし! 今やマヒロ王子を超越せし者、自由の騎士、ゼンラーマンだったのだ!!
「ひぃいっ……!」
「ゼンラ~マ~ン♪ 夏も冬もなく~♪ マッパで駆け抜ける~♪ 風邪を引くなよ人は言う~♪ 全っ! 然っ! 平気さっ!! ゼンラ~マ~ン♪ とうっ!!」
 ゼンラーマンは跳躍、そして少女の眼前に降り立った。

 そこに!

 モザイクなどあろうはずもないッ――!!

「さあ、沙耶香君! 私と一緒にこの地上に真の自由を広」
「ひぃやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ――!!」

――――――――――――――――――――――――――――――
「ミスマルカ興国物語Ⅱ」
「第四章 自由の騎士」(P.187~188)
(林トモアキ著、角川書店スニーカー文庫刊)
――――――――――――――――――――――――――――――
 一見格好良い章タイトルとのあまりの落差が最高に笑えます(^^;
 ちなみに、「自由の騎士」の暴走はこの後もしばらく続きます。間違って興味を持ってしまった方は是非、本編で!

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