【迷場面0154】「童貞野郎なんですねっ」 [化物語]
「どっちが悪いかなんて問題ではありませんっ! たとえわたしが悪いとしても、それでもわたしは多大なるショックを受けたんですっ! ショックを受けている女の子を前にしたら、自分が悪くなくとも謝るのが大人の男ではないのですかっ!」
「大人の男は、謝らない」
僕は声を低くして、言った。
「魂の価値が、下がるから」
「格好いいーっ!?」
「それとも、八九寺は謝られないと許せないっていうのか? 謝ったら許してやるなんて……そんなの、相手が格下でない限り寛容になれないってことじゃないか」
「なんと、わたしが批難される立場に!? 盗人猛々しいとはこのことです……もう本気で怒りました……温厚なわたしですが、仏の顔もサンドバッグですっ!」
「ありえない温厚だな……」
「ていうか謝っても許しませんっ!」
「ていうか別にいいだろ。減るもんじゃないし」
「うわっ、阿良々木さん、開き直りましたか!? 違います、減るもんじゃないとか、そういう問題ではありませんっ! ていうかまだ発育途中でそんなにでもないのに、減ったりしたら困りますっ!」
「揉まれたら増えるとも言うぞ」
「そんな迷信、信じているのは男だけですっ!」
「つまんねえ世の中になっちまったな……」
「なんですか。阿良々木さんはそんな迷信を盾にとって、今まで婦女子の胸を揉みまくってきたのですかっ。最低ですねっ」
「残念ながらそんな機会は一度もなかったな」
「童貞野郎なんですねっ」
「…………」
知っているのか、小学生。
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八九寺真宵×阿良々木暦
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「化物語(上)」
(西尾維新著、講談社BOX刊)
「第二話 まよいマイマイ」(P.197~198)より
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何度も何度も繰り返しますが、少女八九寺、小学五年生です。
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