【迷場面0151】「認めましょう、僕は童貞野郎です!」 [化物語]
「もういいわよ。こっちを向いても」
「そうかよ、ったく……」
僕は本棚から、戦場ヶ原を振り向いた。
まだ下着姿だった。
靴下も穿いていない。
やたら扇情的なポーズを取っていた。
「何が目的なんだお前は!」
「何よ。今日のお礼のつもりで大サービスしてあげてるんだから、ちょっとは喜びなさいよ」
「………………」
お礼のつもりだったのか。
意味が分からない。
どちらかというとお礼よりお詫びを求めたい。
「ちょっとは喜びなさいよ!」
「逆切れされたっ!?」
「感想くらい言うのが礼儀でしょう!」
「か、感想って……っ!」
礼儀なのか?
なんて言えばいいんだ?
えーっと……。
「い、いい身体してるね、とか……?」
「……最低」
腐敗したゴミを見るように唾棄された。
いや、むしろ憐憫の入り混じった感じ。
「そんなことだからあなたは一生童貞なのよ」
「一生!? お前は未来から来た人なのか!?」
「唾を飛ばさないでくれる? 童貞がうつるわ」
「女に童貞がうつるか!」
いや、男にもうつらないけど。
「ていうかちょっと待て、さっきから僕が童貞であることを前提に話が進んでるぞ!」
「だってそうでしょう。あなたを相手にする小学生なんていないはず」
「その発言に対する異議は二つ! 僕はロリコンじゃないというのが一つ、そして探せばきっと僕を相手にしてくれる小学生だっているはずというのが二つだ!」
「一つ目があれば二つ目はいらないのでは」
「…………」
いらなかった。
「でもまあ、確かに偏見でものを言ったわね」
「わかってくれればいいんだ」
「唾を飛ばさないで。素人童貞がうつるわ」
「認めましょう、僕は童貞野郎です!」
恥辱に満ちた告白をさせられた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
戦場ヶ原ひたぎ×阿良々木暦
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「化物語(上)」
(西尾維新著、講談社BOX刊)
「第一話 ひたぎクラブ」(P.62~64)より
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
そんな小学生に、次の話(一週間後)には出逢っちゃうよね(^^;
コメント 0