【名場面0039】「でしたら、失礼させていただくのが私です」 [イスカリオテ]
マニピュレーターの間をくぐりぬけて、イザヤの視線はその中央――機械仕掛けのベッドへと向いた。
冷たい金属製のベッドの上に、人形が横たえられていたのだ。
イザヤの存在に気づいて、すぐノウェムは身じろぎした。
「っ――イザヤ様!」
「いいから寝てろよ」
ぞんざいな口調で、イザヤはしっしと手を振った。
「あ、あ……で、でも」
ぱちくりと何度も瞬きして、人形が躊躇する。
「いいから」
「り、了解しました。でしたら、失礼させていただくのが私です」
渋々と、ノウェムがうなずいた。
妙に弱々しい仕草で、聖職衣を毛布みたいに引き寄せ、じっと少年の方を見る。
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ノウェム(イブ・カダモンシリーズ・EK-09h)×九瀬イザヤ
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「イスカリオテⅡ」
(三田誠著、アスキー・メディアワークス電撃文庫刊)
「第三章 ダビデ」(P.161)より
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ラストの仕草が……狙ってんのか!? 狙ってんだな著者!?(^^;
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