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【名場面0029】「べ、別にあんたに誉められなくったって全然いいんだけど!」 [迷い猫オーバーラン!]


迷い猫オーバーラン! 2 (集英社スーパーダッシュ文庫 ま 1-2)

迷い猫オーバーラン! 2 (集英社スーパーダッシュ文庫 ま 1-2)

  • 作者: 松 智洋
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/12/25
  • メディア: 文庫


「な……なによっ? おかしいっ?」
 頬を真っ赤にした文乃が、プイっと顔を逸らす。
 いやいや、おかしいんじゃない。ビックリしたんだ。
 ガキの頃から一緒に育った仲だが、文乃がドレスを着ている姿を見るのは初めてだった。
 まさか文乃にドレスが似合うだなんて思ってもみなかった。
「おお、馬子にも衣装というか……まるで黄金聖衣(ゴールドクロス)をまとった青銅聖闘士(プロンズセイント)のような……」
 そのたとえはどーかと思うが、そんな家康の心情も理解できなくはない。
 確かに文乃は美少女だ。
 だから、着飾ったらゴージャスになるのは当たり前といえば当たり前なのだが……。
 しかし、すんなりとこの会場にいる令嬢に混じっても違和感のない、というより、令嬢たちの中でもひときわ目立つその姿は、幼い頃からおやつやらオモチャやらを争ってきた気丈な幼馴染ではないような。俺の知っている文乃じゃないような、そんな気さえして……。
「み、見るなっ! ジロジロこっち見るなーっ!」
 どげしっ、と弁慶の泣き所を蹴られた。……うん、やっぱり俺の知ってる文乃だ。
 ちょっと安心した。
「な……なんか言いなさいよ」
 文乃がそっぽを向いたまま、俺に要求してくる。つか、なんかとはなんだ。
「いろいろあるでしょっ! き、キレイとか……似合ってるとか……」
 ちらちらとこちらに視線を送る目元がうす赤く染まって、変な気分になりそうだ。
 また、文乃が知らない女の子にすり替わってしまったような……。
「べ、別にあんたに誉められなくったって全然いいんだけど!」
 ……誉められたいのか、そうか。
 うん、大丈夫、いつもの素直じゃない文乃だな。狼少女の文乃さんだ。
「あ、ああ……うん。すげー似合ってる。びっくりした」
「そ、そう……?」

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芹沢文乃×菊池家康×都築巧
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「迷い猫オーバーラン! 2 拾わせてあげてもいいわよ!?」
(松智洋著、集英社スーパーダッシュ文庫刊)
「第二章 夏休みのセレブパーティ」(P.89~90)より
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 可愛いなぁ、狼少女(^^;

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